2021年8月23日月曜日

天然砥石 大泉砥 大泉青砥 の価値

 オークションなどで見る写真ではわかりにくいが、
肉眼で見るとキラキラした細かい粉が全体に混じっている。

手触りはしっとりした革のようで、
人造砥石のパサパサとした感触とはあきらかに違う。
匂いは木造の古民家の納屋に入ったときの懐かしい匂いがする。
昭和の頃に祖母の家の遊びに行ったときの記憶を呼び覚ました。

人工砥石の「研げさえすれば他に用は無い」という無機質な物と違って
厚みの中に地球の地層があり、
人から人気受け継がれた砥石の中に人の人生の時間が詰まっている。
天然砥石は実用的な道具というだけではなく、
私たちが生きている時間を凝縮したアイテムだ。

荒砥から中研ぎまで人工砥石で行って、仕上げのみを
京都産の高級砥石で行うという考え方は合理的かもしれないが、
それは文字通り上っ面だけを「KYOTO JAPAN!」で整えたものになってしまう。

それでは、中国製の安い天然青砥石で研いだ包丁はどうだろうか?
その包丁は「中国製の安い青砥で研いだ包丁」になってしまうだろう。

単に刃物を研ぐのであれば人造砥石の”刃の黒幕”を使えば鋭い刃が早くつく。
あえて天然砥石を使うのは、その砥石の持つ凝縮した時間を味わう事に意味があるかだ。

国産で手に入りやすい天然中砥石には伊予砥石や天草砥石があるけれど、
人が保管していた古い砥石は、切り出したばかりの新しい砥石よりも時間の凝縮度が高い。

もし、実家にこれと同じ砥石があった記憶があり、手元に母の嫁入り道具の包丁がある場合は
ぜひ、この砥石で研いでみて欲しい。天然砥石の独特の香が懐かしい思い出を呼び覚ましてくれるだろう。

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